早稲田大学図書館 特別資料室これまでの取り組み
当館のデジタル人文学 (Digital Humanities:DH)の取り組みとしては、 主に IIIF(International Image Interoperability Framework) 事業として、資料画像の IIIF 化を順次行うとともに、文化財専用の高精細画像の撮影、古典籍総合データベースとの連携といった取り組みを展開している。
その事例を紹介する。
- 事例①「 浮世の和本 江戸前期絵入り本の世界」(2021年10月1日-11月11日)
- 事例② 文化財専用高精細撮影機器を用いた所蔵資料の撮影
- 事例③ 古典籍総合データベースとの連携
- 事例④『杉田玄白肖像』に描かれた本についての考察
- 事例⑤国宝のIIIF公開
- 事例⑥「早稲田の東亜貴重資料展」(2022年10月7日-11月4日)
- 事例⑦ 拡大画像に見る蔵書票の彫りの精密さ
- 事例⑧ 下絵の情報から色彩再現=住吉広行
IIIFでの公開開始(2021年度)
事例① 「浮世の和本 江戸前期絵入り本の世界」(2021年10月1日-11月11日)

バーチャルミュージアム(以下「VM」)にて、展示資料の一部をIIIF公開した。IIIFの導入にあたり、IIIF規格にするための画像変換(P-TIFFやJPEG2000など)と、マニフェスト URLを一括作成、対応サーバの準備を行った。図書館のサーバはIIIFに対応していないため、先行してIIIFを導入している文化推進部のサーバの使用許可をとり公開を果たした。
展示ページ
《企画展》浮世の和本 -江戸前期絵入り本の世界-(10/1-11/11) – 早稲田大学図書館バーチャルミュージアム
https://archive.waseda.jp/?clp=3o7fh早稲田大学図書館における貴重資料のデジタル化の取り組みについて ~これまで・現在・そしてこれから~
http://hdl.handle.net/2065/00089073
事例② 文化財専用高精細撮影機器を用いた所蔵資料の撮影
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当館所蔵の国宝・重要文化財や、原寸では肉眼で判別しづらい細密な描写がある資料について、文化財専用の超高精細スキャナーを用いた撮影を継続している。 撮影方法は、資料の形態にあわせ機材を床置きやテーブルの上に置き、機器の台数を増やすなど工夫をした。撮影した高精細画像データは、IIIF公開するとともに、後述のとおり資料調査・展示等へ活用している。
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本資料は1冊の造本を7分冊し再製本したもので、「漢字仮名まじり文」による植物名の貼り込まれている。加えて邦訳の経緯や関わった人物などを解説した「付記」が1冊あり、計8冊を高精細撮影し、IIIF公開した。
IIIFの活用促進(2022年度)
事例③ 古典籍総合データベースとの連携
事例②のとおり、IIIF画像公開当初は「文化資源データベース」でのみ公開していたが、2022年度に古典籍総合データベース上で該当する資料ページにIIIF画像およびmanifestのURLを掲載した。続いて2024年度に「IIIF画像にとは」という解説ページを作成・公開、およびIIIF対応画像の検索ができるよう改修をした。
古典籍総合データベース「IIIF画像とは」
https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/ga_IIIF/about_iiif.html
事例④ 『杉田玄白肖像』に描かれた本についての考察

重要文化財『杉田玄白肖像』(文庫 8 A252、大槻玄沢関係資料)について、文化財専用の高精細スキャナーで撮影した高精細画像を用いて、玄白の脇に置かれた本を拡大したところ、挿図の様子が肉眼より細かく見て取れたため、挿図の構図から、該当する本の特定を試みた。詳細は、「ふみくら」第102号を参照のこと。




挿図(国際日本文化研究センター所蔵)
早稲田大学古典籍総合データベース 「杉田玄白肖像 / [石川大浪] [画] ; 九幸老人 書」
https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko08/bunko08_a0252/index.html
事例⑤ 国宝のIIIF公開

「遺す、写す、広める。―東西の写本展」(2022年3月23-4月28日)において、文化財用高精細スキャナーで撮影した当館が所蔵する国宝2件、①『玉篇. 巻第9 / [顧野王] [撰]』(請求記号:ホ4 2555)、②『礼記子本疏義. 第59 / [鄭灼] [撰]』(請求記号:ロ12 1134)、ほか展示資料の一部をIIIF公開した。
また展示室にサイネージを置き、高精細スキャナーでの撮影の様子と、その高精細画像が実感できるよう拡大した一連の流れがわかる動画を投影した。
展示ページ
《企画展》遺す、写す、広める。―東西の写本展(3/23-4/28) – 早稲田大学図書館バーチャルミュージアム
https://archive.waseda.jp/?clp=LSd3K
事例⑥ 「早稲田の東亜貴重資料展」(2022年10月7日-11月4日)
本展では、事例⑤で記載した国宝2件の実物を期間限定で展示するとともに、同資料の高精細画像をパネル展示した。国宝『玉篇』は京都国立博物館が所蔵する泣き別れの断簡を所蔵しており画像公開をしている。両館所蔵分のうち、片側は繋がっていた箇所のため、実際に画像をつなげ、表・裏面ともパネル展示をしたところ好評を得た。
両館所蔵分ともにIIIF公開をしているため、IIIFビューアにおいても繋がる画像を並べて表示することができる。



企画展「早稲田の東亜貴重資料展」紹介ページ
https://www.waseda.jp/library/news/2022/09/06/12947/ふみくら103号所収『語り継ぐ物語~「早稲田の東亜貴重資料展」報告』
http://hdl.handle.net/2065/00093562http://hdl.handle.net/2065/00093562IIIF事業の開始と展開. 2023.早稲田大学図書館年報, 2022, pp.8-9
http://hdl.handle.net/2065/00094506
事例⑦ 拡大画像に見る蔵書票の彫りの精密さ
「蔵書票、蔵書印、書き込み:図書館に遺された所有の証」(2023年10月2日-11月9日)
当館の蔵書に遺された「蔵書票」「蔵書印」「書き込み」にクローズアップし、図像や書きこみを読み解くことで、当館に所蔵されるまでの経緯を考察した。
高精細画像で撮影した蔵書票の中には、下記画像のように拡大することで読める文字があり、彫刻家の技術の高さも紹介することができた。


企画展「蔵書票、蔵書印、書き込み:図書館に遺された所有の証」
バーチャルミュージアム
https://archive.waseda.jp/?clp=uIphNIIIF事業の開始と展開. 2023.早稲田大学図書館年報, 2022, pp.8-9
http://hdl.handle.net/2065/00094506<図書館企画展開催報告>蔵書票、蔵書印、書き込み : 図書館に遺された所有の証. 2024. 早稲田大学図書館報「ふみくら」第105号, p. 4-5
https://waseda.repo.nii.ac.jp/records/2001369
事例⑧ 下絵の情報から色彩再現=住吉広行
住吉広行「春冬堂上放鷹之図」屏風~下絵からよみがえる、朝鮮王朝への贈りもの~(2024年3月22日-4月30日)
当館所蔵、住吉広行筆「春冬堂上放鷹之図」は、朝鮮通信使に贈られた屏風の右側の下絵であり、屏風の完成品は失われているの高精細画像をIIIF公開するとともに、画像のから読み取れる指示書きや、他機関所蔵の本図の制作記録ををもとに、デジタルでの彩色再現や、3Dで屏風仕立てにした様子を紹介した。
企画展「住吉広行「春冬堂上放鷹之図」屏風~下絵からよみがえる、朝鮮王朝への贈りもの~」紹介ページ
https://www.waseda.jp/library/news/2024/02/29/20367/バーチャルミュージアム
https://archive.waseda.jp/?clp=zNjpl・IIIF事業の展開. 2024. 早稲田大学図書館年報, 2023, p.14
http://hdl.handle.net/2065/0002002951<図書館企画展開催報告>住吉広行「春冬堂上放鷹之図」屏風~下絵からよみがえる、朝鮮王朝への贈りもの~. 2024. 早稲田大学図書館報「ふみくら」第106号, p. 3-5
https://waseda.repo.nii.ac.jp/records/2004369
